[連載NO.46 これがダブルス上達のテクニック(パート9)]
ダブルスで話題になるのが、リターンサイドでどちらのサイドをどちらのプレーヤーが守るかという議論である。
まず尊重してほしいのは、自分がどちらのサイドでプレーしたいかを相手に意思表示して、ふたりでよく話し合うこと。気に入らないサイドで渋々プレーしても実力が発揮できるわけがない。
もしも、あなたとそのパートナーが、「自分はどちらでプレーしてもよい」と考えているのなら、実際にプレーして決めるのもよい方法である。リターンするサイドを変更して1セットずつ合計2セット、普段いっしょに練習しているペアとプレーしてみればよい。プレーした2セットのスコアや、実際に対戦した相手のペアの感想を考慮に入れて判断すれば自ずとリターンのサイドは決まるはずだ。
そうは言っても、リターンサイドを決める基本ルールを知っておいた方がチームとしての能力を十分に発揮できる。そこで以下に述べる私の提唱するサイド決定法を参考にしていただきたい。
私の基本原則はいたって単純である。プレーする機会が多いデュースサイドでポイントを取る確率が高い布陣でプレーする。この原則を最優先してほしい。つまり、レベルの高いプレーヤーがデュースコートを守れば、リターンサイドでポイントを取る確率は高くなる。しかも、ゲームの最初のポイントは必ずデュースサイドから始まるわけだから、この作戦は「先手必勝」にもつながるのだ。
その典型例がミックスダブルだろう。私なら、迷わずデュースサイドを男性が、アドサイドを女性がプレーすることを推奨したい。中にはアドサイドでは、例えば40-30とか、アドバンテージ・サーバーといったプレッシャーのかかる重要なポイントが多いから、アドサイドにレベルの高いプレーヤーをもってきた方がいいと考える人もいるだろう。しかし、そういう事実を認めた上で、やはりプレーする機会の多いデュースサイドでポイントを取る確率の高い布陣でプレーすることを優先したい。
なぜなら、デュースサイドでポイントを取ることによって、プレッシャーのかかるアドサイドでリードした状況でプレーする確率が断然高くなるからだ。つまり、同じプレッシャーのかかるポイントでも、サービスサイドからカウントして、40-30と30-40とでは、心理的にもまったく違ったものになる。プレッシャーのかかるアドサイドで優位に立っておくためにも、デュースサイドをポイントの取れる布陣で臨むべきなのだ。
それでは左利きのプレーヤーと組んだダブルスの場合はどうだろう。基本的には、今まで述べた原則が適用できるが、同じレベルのプレーヤー同士なら、右利きのプレーヤーがデュースサイド、左利きのプレーヤーがアドサイドを守ることをおすすめしたい。なぜなら、この組み合わせでは、統計的にもフォアハンドリターンを打つ確率が高くなるからだ。
ダブルスにおいて、リターンサイドでは、「コートの外側を固める」というのが基本ルールである。そのためにも、j左利きのプレーヤーがアドサイドを守ることをおすすめしたい。
ただし、この布陣にも当然弱点がある。センターが両方のプレーヤーにとってバックハンド側になるため、ポーチに出たり、ボールをセンターに集められたときには、どうしてもバックハンドで返球することが多くなる。たとえそのような弱点があったとしても、私はあえて外側をしっかり固める作戦を皆さんに推奨したい。
もちろん、以上述べたことはあくまでも原則論である。最初に述べたように、お互いが話し合って最終的にリターンサイドを決定することがもっとも重要な要素であることは言うまでもない。
最適のリターンサイドでプレーすることによって、あなたのチームは簡単にライバルチームを打ち負かすことができる。 |