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テニス
 
テニス > 連載NO.43
 
〜技術上達コラム こうすればテニスはもっと上達できる〜
 
[連載NO.43 これがダブルス上達のテクニック(パート7)]
ダブルスにおいて、もっとも過小評価されているショットがスマッシュである。多くのプレーヤーがグラウンドストロークやボレーの練習に積極的に取り組むが、スマッシュの練習にはあまり時間を割かない。

実は、スマッシュほどプレーヤーのレベルをチェックするのに好都合なショットはない。もう数年以上前になるが、私はさまざまなレベルのプレーヤーを対象に、ペア・ショット(例えば、パスとボレー、ロブとスマッシュのような、対になるふたつのショットを私はこう呼んでいる)を比較してどちらのショットが有利かを検証したことがある。

同じレベルのプレーヤー同士が対戦するという設定で、さまざまなレベルのプレーヤーにテストに参加してもらった。その結果、興味ある事実が判明した。例えばパスとボレーというペア・ショットで対戦した場合、プレーヤーのレベルにかかわらず、ボレーの方が有利であった。ところがロブとスマッシュでは、プレーヤーのレベルによって大きく左右されることがわかった。つまりプレーヤーのレベルが低いほどロブが有利であり、レベルが高くなるにつれ、明らかにスマッシュが優位となった。言い換えれば、多少の例外はあるにせよ、スマッシュの得意なプレーヤーはレベルの高いプレーヤーであることが判明したのである。

雁行陣でプレーする頻度が高い比較的レベルの低いプレーヤーの中には、ストレートへのロブを得意としているプレーヤーが多い。この事実は、このレベルのプレーヤーがスマッシュよりもロブが得意であることを如実に示している。

多くのプレーヤーがスマッシュをむずかしく考えすぎている。スマッシュほどエースを取る確率が高く、しかも相手コートに入る確率が高いショットはほかにない。なぜなら、サービスを除くどのショットよりも打点は高いし、打点がほぼ同じであるサービスと比較しても、ショットするポジションが圧倒的にネットに近いからだ。

スマッシュをむずかしくしている理由は主にふたつある。まず最初の理由は、タイミングをとることのむずかしさである。ボールが勢いよく落下してくるわけだから、他のどのショットよりも正確なタイミングが要求される。言い換えれば、タイミングさえ身につければ、スマッシュは驚くほど短期的に上達できるのである。それではタイミングをうまくとる練習法はないだろうか?練習をするとき、パートナーに高いロブを上げてもらおう。ロブが高くなれば、それだけボールは勢いよく落下してくるからタイミングをとることがむずかしくなる。コートに出たら必ず高いロブを20球スマッシュする練習をメニューに組み込もう。毎回ほんの数分間でいいからスマッシュの練習をするだけで、あなたはスマッシュの達人に変身できる。

スマッシュをむずかしくしているふたつ目の理由は、フットワークの練習不足である。雁行陣でプレーする多くのプレーヤーがストレートにロブを上げられたら、反射的に「お願い」とパートナーに声を掛けて反対側のサイドに移動する習性がある。たとえスマッシュでエースを取れる簡単なロブであってもである。これではスマッシュの上達は望めない。

正しいフットワークを身につけるためには、まずスイングと切り離して練習すればよい。ラケットをベンチに置いて、通常のダブルスのネットポジションにつく。次にパートナーにストレートのやや深いロブを上げてもらい、ロブが上がった瞬間、右利きのプレーヤーなら右足を大きく後ろに踏み出して勢いよく後退しよう。このとき上半身をネットではなく、サイドフェンスに向けて後退すれば素早く移動できる。

落ちてくるロブに手のひらを向けながらボールの落下地点に素早く移動して、右利きプレーヤーなら左手でボールをキャッチしよう。この練習でスマッシュのフットワークをマスターしたら、今度は実際に深く、しかも高いロブを上げてもらい、スマッシュ練習をすればよい。

ボールをとらえるタイミングと正しいフットワークさえマスターすれば、スマッシュは強力な武器に変身する。毎回ほんの少しスマッシュの練習に時間を割くだけで、驚くほどプレーに攻撃力が加わり、今まで勝てなかったライバルチームを簡単に打ち負かすことができる。

 
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